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50年前の「省エネ住宅の計画」という本と古い家の断熱性能を調べて今との違いを比べました【建築知識】
数年前から
家の解体工事は
アスベスト関係の規制が多くて
こちらの45年前の建築知識
この時代の住宅は 外装も内装もアスベストが たくさん使ってあって まだ健康被害とか 分かってない時代ですから
石綿=アスベストですが
当たり前に使っているので
参考資料として
昔の書籍を見ているのですが
ちょっと気になるのが
1978年の省エネルギー住宅の計画
45年前なので
樹脂サッシも北海道ですら
一部マニアの商品って時代で
本州には一切なく
広告の新発売商品も アルミサッシだけです 昭和40年代だと アルミサッシのシェアが90%で 残りはまだ古い木製 ドイツですら樹脂サッシの 製造が始まったのは 昭和40年代で
今回紹介する書籍が出る2年前 1976年に初めて北海道で 樹脂サッシの製造が始まったばかりという 時代です それでもアルミサッシ広告の説明を読むと ・サッシの下部に断熱素材を入れて 熱貫流率アップ ・気密性向上とか 色々と頑張ってはいますが かなりの低性能だと思うので この時代の省エネ住宅や 断熱材がどのような物か気になります
目次
・この時代は「ナミダタケ事件」の直後です
高断熱高気密の歴史を学ぶと
必ず出てくるのが
ナミダタケ事件です
画像が割とセンシティブですが
新築から数年で このようなキノコが床下に出来て 床が抜けてしまう事例が起きました このようになった 流れをまとめると 1970年以前は家なんて ストーブ、暖炉、コタツなどで 暖めればいいじゃんという考えでしたが (そのため家は基本スカスカで通気重視) ・1973年にオイルショックが起きる ・その為に住宅の燃料代が高騰する ・その結果、北海道などで 「省エネ住宅を作ろう」と グラスウールが50mmから倍の100mmや それ以上の厚さになる ・しかし気密や換気がよく考えられてない家が出来る ・間違った断熱材の使い方をしたため 家の中と外の温度差が出来て グラスウールが結露する ・木材も腐って「ナミダダケ」というキノコが 家から発生する という物です・・・
・気密化が出来てない時代なので断熱が難しい
気密と通気が出来てないので
このような大惨事になったのですが
ナミダタケ事件で検索すると
一部のブログなどでは間違った伝え方をしていて
ナミダタケ事件が起きる前は
断熱とか気密なんて考えは無かった
これは間違いで いくら50年前の本州でも 断熱、気密の考えは無かったという事はないし 今回の書籍の特集もですが 断熱材も色々と発売されています しかし知識の蓄積が何も無いので 先程の「ナミダタケ事件」が起きました 今ではローコストの我が家ですら 当たり前ですが
壁にも屋根にも 通気層があって さらに気密性能、耐震性能を上げる 耐力壁だって
普通の合板より3~4倍は 透湿性に優れた商品を使います しかし、この時代は 一部の断熱、気密に詳しい工務店以外は
不用意な気密化をすると 結露や酸欠などが起こるよと かなり難しい事だと言っています 私が解体業をしていて 古い家や今の家の 中身を見た知識の上で ・家の断熱性能ってG1程度あればよくて ・断熱材は吹付け断熱ならミスも少なくて これくらいの性能があれば 問題ないよってのは 昔の家の中身を見てきているので 言っています 仮に50年前に 断熱にこだわった家を建てるには それこそ雑誌に載るような家なので ローコストどころか ハウスメーカーでも不可能で 余程詳しい工務店じゃないと無理な時代でした 「とりあえず断熱したいなら 断熱材入れればいんだろう」 という無知から始まった50年前の 省エネルギー住宅ですが この事件から ただ断熱材を入れればいいって物じゃ無くて 1980年からは 気密、換気、通気と 空気の流れを考えるようになり 紆余曲折あって 今では当たり前の 通気工法とか出来るようになりました
・50年前は無断熱の家も多い
実例の断熱住宅紹介の前に
この時代は気密どころか
断熱もゼロの家が多いです
私は断熱の省エネ地域区分だと
6地域なので比較的暖かい地域に住んでいますが
1970年代の建物を解体すると ほとんどが無断熱の家です 「ちょっとでも断熱すれば 違うんじゃない?」って思いますが オイルショック前までは 光熱費が凄い安かったのと 断熱の知識が 工務店やハウスメーカーにも 全然無かった事と もう一つ この時代はエアコンの普及率が
まだ3割以下なんです 既に今の高断熱住宅に住んでいる人なら 分かりますが 夏なんてエアコンの熱を外に逃がさないと言うのが 高断熱住宅ですから エアコンが無ければ 無断熱住宅より暑くて暮らせません 冬はストーブでどうにかなっても 夏はどうしようもないので 本州は特に 夏重視の作りになっていました 断熱材のデメリットの方が メリットを上回っていたんですね
・45年前の関東での高断熱住宅の実例
最初に紹介するのは
平屋住宅
竣工が1978年ですから 今も残っていれば築45年ですけど 性能的に今ではかなり厳しいでしょうから 残ってないかもしれません・・・ 33坪の平屋で 建築費が1,080万円ってのは 今なら安いですが 当時だと高い方かなって思います まあ、省エネ住宅の特集に載るくらいなので 今でいうパッシブハウスを作っているようなものです 最初に特筆すべきは 外観から見える窓
この家は冷暖房設備が無いので ここから通風を取っています 通気工法や 換気システムが無い時代なので 大変そうですね 断面図を見ると
天窓が
今でいう屋根の通気をしていて
壁側は
全て縁側があって 通気の問題はクリアしています 神奈川県の家ですし この作りを見ても 夏の暑さ対策メインの家ですね 今と違って エアコンが簡単に買えない時代で さらにこの平屋でも最低3台は必要でしょうから 通気と日射を対策して 夏を快適にという考えだと思います 冬はストーブやコタツがあるし どうにかなるんでしょうね 性能面を見ると
窓はアルミサッシの シングルガラス 断熱材は高性能じゃない 普通のグラスウールが 屋根も壁も床も50mm 一昔前の 断熱等級4だって ・グラスウール105mm ・アルミのペアガラス これでも作りによっては0.87の 断熱等級4にはいきませんから 今の格安建売住宅よりも ずっと性能が落ちますね それでも、この時代に 関東でグラスウールが入ってるだけでも 断熱を考えてますって家だと思いますが やはり、この家の見どころは エアコン無しでの夏の対策ですね
・この時代、北海道では高断熱住宅の基礎が出来る
この時代の家は 「夏涼しくて冬暖かい」ってのが 技術的に不可能だったので またエアコンも普及してないですから 先程の神奈川の家は 夏の暑さ対策に特化していましたが 次に紹介するのは 北海道の住宅なので 冬の寒さ対策がメインです 家の外観も
南側が全面ガラスと 冬の日射を最大限取り込む作りです 家のデータは
1977年なので46年前 建築費1,380万円で 驚くべきことに建売住宅だそうです 暖房はソーラーシステムに 石油ストーブで クーラーはありません これだけ南面にガラスがあっても 夏にエアコンが要らないのが 北海道なんですね 一番の特徴は 前面にある「温室」という場所で
この時代
本州ならこの場所は「縁側」があって
夏の太陽が居間に入らないようにしていますが
こちらは逆に
温室として使っています
・この場所の1階にストーブを置いて ・2階の部分はスノコにして 2階窓からの冷気を下げて 1階のストーブからの暖気を上げています さらに風除室があって 暖かい2階がリビングと やはり今と違って 断熱性能に限界があるので 色々と工夫がありますね 断熱性能を見ると 先程の本州の家よりは凄くて
・基礎はスタイロフォーム50mm ・壁はスタイロフォーム100mm ・屋根はスタイロフォーム50mmと ブローイングウール150mm そして通気層も作られいて 結露対策も出来ています ブローイングウールって 余り聞かない言葉ですが
要は吹き付け断熱で150mmあります
窓サッシは
まだ樹脂窓ではないですが
アルミサッシの複層窓に
内窓として単層窓もあるので
実質トリプルガラスですね
さすがに
この時代の北海道で
建築知識の省エネ住宅特集に出る位なので
当時だとかなりの高性能ですね
・快適な生活ならエアコンと換気システムにお金を掛けたい
この時代の家を見ると
断熱性能よりも
エアコンの低価格化と進化が
まずあります
今回紹介した住宅が作られた
1978年のエアコンカタログですが
安いモデルでも15万円です 大卒初任給が11万円の時代なので かなりの高級品だし 当時のエアコンは電気代も凄いですから 贅沢品ですけど 今はエアコンがあって当たり前ですし 家の値段から考えたら安い買い物ですから 最後にここをケチっても勿体ないです そして一番の違いが 換気システム
昔の時代の冷暖房対策や
湿度対策などの歴史を考えると
1種換気システムが
80万円で買えるってめちゃお得な気がします(笑)
実際、3種換気と比べて
冷暖房代だけでは元は取れないかもしれませんが
快適性って部分では全然違うので
私なら家のグレードを落としてでも
エアコンと換気システムのグレードは上げます
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コメント
コメント一覧 (2件)
全熱交換器付きの換気って大切ですよね。
断熱グレード上げるより光熱費削減の効果あるみたいですし。
ダクト式はメンテと初期費用が高いので2万円のロスナイがもっと普及したら良いのになと思います…
ゼルビスさん
コメントありがとうございます
ロスナイは安いですよねー
うちは何故かこの坪数だと差額無しで
1階、2階と2台換気システム入れれるので
万一の故障時でも全部停止にはなりません
Panasonicの第一種でこれも1台12万円程なので
そこまで高くはないですが故障時はそれなりにかかるでしょうねぇ・・・